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春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第21章 来世の、来世で
……ずっと拭えないままの、不安と焦り。
そして
遼くんの腕の中で、幸せを感じているのは間違いがないのに
心の隅に残ったままの、小さな蟠り。
……違和感にも近い、鈍い痛みが
ユキとサヨナラをしたあの日から、ずっと残っている。
「私、周りの目ばかり気にしちゃって。
もしこの関係が誰かに知られてしまったらって思うと……怖いの」
……グチグチと、暗い話を続けてしまう。
こんなこと、ユキに言うべきではないのに……
「遼くんは、見つかっても全然構わないって言うし。
最近は、周りに愛妻家って言われても全然反応しないんだ」
「………」
「って、それは私のせいなんだけど…」
「大丈夫だよ、春ちゃん」
止まらない私の言葉を、優しく遮って
「………!」
ユキは私の右手に、そっと自分の左手を重ねた。