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春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第21章 来世の、来世で
「春ちゃん、どうし…」
「私が助手を務めた、最後の日」
「………!」
「7号館の屋上で
ユキが私の背中を押してくれた……あの時……」
ユキが大きく目を見開いた。
……彼が驚くように
なぜ、急にこんな事を言いだしたのか、自分でも分からない。
だけど……分かるの……
同じなの。
屋上の梯子に手をかけて、優しく微笑んだ……
あの時と変わらない
私を見つめるユキの瞳が、切なく揺れているから……
“ ……ひとつ、約束してくれる? ”
「……ユキ、何て言おうとしたの?」
「………っ」
「私に、何を伝えようとしてくれたの……?」
……穏やかに、微笑んでいた彼の表情が
明らかに動揺をみせて……少しだけ悲しみの色に変化して
私からふっと視線を逸らした。
……心臓が、破裂しそうなくらい鳴り響いている。