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春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第21章 来世の、来世で
……ユキが放った、その一言は
波の音に消されてしまうほど、小さな声だったけど
「……雪斗」
夕陽に照らされて、真っ直ぐ後ろに影を伸ばした彼は
向かい合って座る私とユキの、すぐ傍で足を止めた。
「謝るのは、俺の方だ」
「………っ」
「ごめんな、雪斗」
……涙で滲んで、その姿がよく見えないけど
低くて穏やかなその声は、間違いなく……
「……遼、く……」
驚き過ぎて、その後の言葉が出て来ない。
ユキが義兄さんと呼ぶまで、彼が近くにいることに気付かなかった。
……だんだんと、視界が開けてきて
モノトーンのデッキシューズから、視線を上に移すと……
「……春菜」
ベーシックなサングラスを外して
私を見下ろすと、遼くんはふっと微笑んだ。