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春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第22章 いい女、いい男、もっといい男
───地平線にかかる夕陽が、残りほんの僅かとなって
海に面して並ぶ複数の店に、淡い照明が灯り始めた。
昼間の賑やかさから、辺りは静かな夜の雰囲気に変わり
潮風が吹き抜ける度に、波の音が心地良く響き渡る。
「………!」
すぐ後ろにあるオーシャンビューのカフェへ、砂浜を踏み潰しながら戻ると
ウッドデッキのテラス席の、テーブルの上にも
色とりどりのキャンドルの灯が、ムードよく揺れていた。
「……おい」
他人から見たらドン引きであろう青春劇を、店の目の前で披露したことで
俺としては、すぐにでもここから立ち去りたかったんだけど
……テラス席のド真ん中。
周りの女達の全視線を受けて、更に注目を集めている奴がいた。
「宮本、お前」
「………」
「……なんで、泣いてんの?」