この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第22章 いい女、いい男、もっといい男
「俺の周りは泣き虫ばかりだな」
「………」
「人の為に泣く奴なんて、そうそう居ないっつーのに」
そう言って笑いながら
キャンドルの近くに置かれた、宮本の煙草を1本抜くと
隣りから深い溜息が聞こえてきた。
「完全に不本意だ」
「はは、だろうな。
ピュアなあいつらに感化されちまったんだろ?」
「………」
「……すげぇよな、マジで」
1番心が震えたのは、間違いなく俺だ。
春菜も雪斗も、大きな瞳にめいっぱい涙を溢れさせるから
なんだか堪らなくなって
2人まとめて両腕で抱き締めたくなっちまって
……ぐっと堪えた心の奥が、まだ少し熱い。
「宮本。
お前のことはよく理解してるから、心配するなって」
「………」
「その涙、綾瀬には秘密にしといてやるよ。
どうせ言ったところで信じねぇだろうし…」
「泣いてやったんだよ」
「………!」
「……泣きたくても、泣けないてめぇの代わりに」