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春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第22章 いい女、いい男、もっといい男
周りのザワつきも落ち着いて、波の音が静かに響く中
「この場所で、お前達3人を見ながら
……俺がもし加賀谷だったらって、勝手に考えてた」
煙草の灰を指で落としながら、宮本は浜辺を見つめる。
「大抵は一発で答えが浮かぶし、迷ったとしても道筋くらいは組み立てられる。
……お前は俺と同じタイプだから、分かると思うけど」
「………」
「だけど……解けねぇな」
「………!」
「深く考えても、例え時間をかけて悩んだとしても
……何が正解なのかは、俺も分からねぇ」
切ない表情を浮かべて、その瞳がゆっくりと閉じられた。
「 “ ただ傍にいるだけでいいから、見捨てないでやって ” 」
「……え?」
「前に、○○木工まで送った車内で言ったんだ。
……加賀谷を救えるのは、蓮見だけだと思っていたから」
「………!」
「だけど、そうじゃなかった」
指の間から煙草が灰皿に落ちて
宮本はもう一度海を見つめて、小さく笑った。
「蓮見の心情も、お前の真意も考えずに。
……義理の弟が抱える、想いも知らずに」
「……宮本……」
「……アホだな、俺は」