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春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第22章 いい女、いい男、もっといい男
……普段は感情を封印し、自分に対して常に厳しい宮本。
それでも
他人の為に涙を流し、救いたいと願い
自分に置き換えて共に悩む
……この男程、この世にかっこいい奴はいねぇと本気で思う。
桜が死んでから今日に至るまで
暗闇で彷徨い、何度も立ち止まりそうになる足。
その度に、この男が無言で俺の前を歩き
足跡を残して、進むべき道を導いてくれた。
……本人が言った通り
悩みや迷いを自ら吐露することなんて、絶対にありえない宮本が
これだけの切なさを漂わせて、答えが分からないと言うんだから
「……正解は無いんだ。 きっと」
独り言のように呟いた俺に、宮本が視線を向けた。
雪斗と同じ赤い目だ。
「それにしても、お前ほんと俺のこと好きだな♪」
「………」
「襲われそうだから、やっぱりお前とは住めねぇよ」
ニヤニヤ笑いながらそう茶化してみると
本革ブレスの巻かれた腕で、乱暴に目を擦って
宮本は忌々しく溜息ををついた。