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春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第22章 いい女、いい男、もっといい男
「……楽しんでんじゃねぇよ。
好きなんてふざける以前に、呆れてるっつーの」
「呆れてる?」
「お前達は揃いも揃って
自分を抑えて、相手の幸せを願い過ぎている」
「………!」
「優し過ぎるんだよ」
心底うんざりした表情で、残りのビールを一気に飲み干す宮本。
深く溜息を漏らして、俺から視線を逸らす。
「加賀谷。
お前ちゃんと心を開放できたのか?」
「……開放?」
「……って、あの美少年は聞きたかったと思うぜ」
「………!」
「最後、蓮見の目からは迷いが消えていたけど
あいつはそうじゃなかったから」
……煙を空に浮かべて、宮本はまた切ない表情を浮かべた。
「ここに戻るお前の後ろ姿を、何度も振り返って見てた」
「………!」
「お前が本当に心からそう願ってるのか……本当に救われたのか
気にしてんだろうな」
「………」
「……自分が心を開放したから、余計にそう思うんだろ」