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春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第22章 いい女、いい男、もっといい男

あ? 違うな逆か。

いい男は俺で、もっといい男は雪斗かもな。

どちらにしても、こんなに清々しい気分は久しぶりだ。



「…ったく。
来年三十路になる男を、ときめかせるなっつーの」


溜息をつきっぱなしの宮本。

煙草とライターをポケットにしまいながら、手を挙げて店員を呼んだ。


「その吹っ切れた顔が見れたから、もう何も言わねぇよ」

「あぁ、色々ご心配アリガトウ」

「ただ、これからは遠慮なく突っ込んでいくから。
覚悟しとけ」

「………!」

「てめぇがうんざりするほど
平日だろうが休日だろうが引っ張り出してやる」



“ 義兄さんが呆れて、嫌がるくらいに
この先もずっと、ずっと傍にいるから ”



「……はは」



ムスッとした表情で、半分苛立ちながら言ったこいつの言葉が

雪斗が最後に叫んだ優しさとリンクしているから


……なんつーか……なんだよこの気持ち。



「俺のスケジュール、どれだけ充実させる気?」

「一生。この世の終わりまで」

「……アホか」



……敵わねぇな。

俺は感動して泣くキャラじゃねぇんだから

これ以上胸を熱くさせんなよな……


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