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パラダイスパレスの淫らな晩餐
第1章 奇妙な豪華ホテル
 剣士キオと魔導士エヌフィーヌ。二人はこのリンデーン国にその名を轟かすエクスプローラー(探索者)だった。

 リンデーンは別名『秘宝の王国』とも呼ばれ、広大な大陸に散らばる数々の超古代遺跡に眠る秘法を国家が懸賞金を出して買い取っている。エクスプローラーとは、賞金を目当てに遺跡に挑む冒険者たちのことだ。

 もちろん、遺跡の中には古代の罠があったり、周辺に魔物や猛獣が棲みついているのも常である。生半可な腕前で成り立つ稼業ではない。

 そんな中、キオとエヌフィーヌは危険度の高い有名遺跡をいくつも突破し、古代秘宝の数々を奪取して生還する高額賞金稼ぎ――ランカー・エクスプローラーと呼ばれる存在だった。ランカーというのは賞金ランキングの上位者という意味であり、これまでリンデーン市から獲得した賞金の総額が歴代十指に入るという、折り紙つきの実力だ。

 実力だけではなく、その美貌もまたふたりの名声を高めるのにひと役かっており、リンデーンでその名を知らぬ者なき美女エクスプローラーコンビに憧れるファンも少なくなかった。

 今も二人はリンデーンの南に拡がる熱帯の大サバンナにあるという遺跡を目指す探索行の途上だった。

「ふうっ……ま、これで心置きなく、アレを目指せるな」

 キオが荒原の彼方にそびえる巨大な建造物を見晴るかす。それは白い巨大な石壁づくりの宮殿のような建物だった。

「そうね。一体なんなのかしら……。不思議ね。私たちが目指していた遺跡とも違うし、あんな建造物があるなんて古地図にも載っていなかったわ」

 旅の途中、遠くからこの謎の宮殿の姿を見かけ、二人は少々予定を変更して立ち寄ってみることにしたのだった。

「行ってみりゃわかるって!」

 何事につけ楽天的なキオがそう言って先に立ち、二人は再び歩き出した。
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