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退魔風紀 ヨミ ~恥獄の学園~
第3章 「許さない!」
(一体何だったのかしら、この子は)

 この学園に魔が潜んでいるのは事実だ。そしてギニーが退魔風紀に依頼を送って来たのもまた事実。だが、真面目に魔を祓おうという態度とはとても言えなかった。それとも、彼なりに真面目に考えてのことなのだろうか?

 そうであったとしても、罪なき女生徒を拉致して魔物をおびき寄せるなど、発想が邪悪すぎる。

(そうだわ、いけない! 彼女を助けなければ!)

 詠は背後で吊るされているヘレンを助け出そうと――

 ガシッ!

「きゃああっ!」

 それは完全に不意を突いた一撃だった。吊るされていたヘレンが両足を空中に振り上げ、詠に絡みついたのだ。

「なっ……へ、ヘレン?」
「ギシャアァァァ! ヘレンじゃねええええええ!」

 白目を剥いたヘレンの口が耳元まで裂け無数の牙をのぞかせる。発せられた声は聞くに堪えないしわがれたダミ声だった。

「ま、まさか……」

「そうだぜぇぇぇ! ヘレンなんて女生徒は最初から存在しねえええ! そりゃあの太っちょなガキの妄想した理想の恋人の名前よお! それに俺様が化けていたんだよォォォ!」

「なんですって!」

 絡み付いた太腿が詠の首をグイグイと締める。物凄い力だ。

「あ、あなた……何者!」
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