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退魔風紀 ヨミ ~恥獄の学園~
第2章 「わかったわ……」
(くっ……こんな奴に!)

 どの口が他人を卑怯者呼ばわりするのか。屈辱の怒りに頬を染めて詠は再び指の形を作る。

「彪……」

 が、印契を結ぶ間もなく電撃が体に走る!

「アアアアアアアアアッ!」

《我、契約ノ証人ナリ!》

 頭の中でまた大きな声がした。

「イ~ンポッシボォ~! 無理無理無理無理~! 言ったお! 約束を守らない行為は天罰お!」

「そんな……」

「しかも、お前だけじゃないお、見てみろ、お! ヘレンちゃんが可哀相なことになってるお!」

「ああっ!」

 吊るされている少女がビクビクと痙攣し、苦痛に顔を歪ませていた。

「まさか……」

「ヘレンちゃんの身代わりになるのが契約だから、お前が約束を守らないと身代わりになってもらうほーのヘレンちゃんにもビリビリが行くんだお! エシシシシシシッ!」

(なんということ!)

 詠は完全に罠に嵌ってしまったことを悟った。

「さあて、ホレ。約束を実行してもらおーかお……」
「く……」

 他に手立てはなかった。

「わ、わかったわ……」
「ビーッチ! ふざけんなああ!」
「な、何が?」

「何がだとおおお! ますますもって道理を知らねークソビッチだお! お前まず謝れお! 騙して申し訳ありませんでしたって! 自分は卑怯な女でしたって認めろ、お!」

「そ、そんなこと……」

 死んでも認めたくない。

「認めないんならこの媚薬は渡さねーお! そしたら困るんじゃねーのかお?」

「くっ……」

(……どこまで卑劣なの!)

 もう少しで口を衝いて出そうになった言葉をかろうじて止める。
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