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BLACK WOLF~crime~
第1章 籠ノ鳥
━━━━━━「おはようございます」
「あぁ。おはよう、相沢さん」
どんなに嫌なことがあっても朝は来る。
どんなに辛いことがあっても生活のために働かなきゃいけない。
自宅から徒歩20分のところにある工場。
私は今、ここで働いている。
派遣社員やパートさんを合わせると20人ほどの社員が在籍しているこの工場は主に学生が使う文具用品を作っている。
仕事はその日によって作業が変わるが、毎日毎日違う刺激があって楽しい。
「おはよう、相沢さん」
「桜木さん、おはようございます」
「今日は俺と相沢さんがペアらしいから、よろしくね」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
そして、今私に挨拶をしてくれた男性。
ここの正社員さんの桜木 弘志-さくらぎ ひろし-さん。
私を含めここの従業員さんをいつも労ってくれる優しい社員さんだ。
工場の流れ作業といっても重い荷物を移動させる作業もあるので、そればかりは女性の力ではどうにもならない。
なので、たまにこうして男女1組のペアになって作業する場合もある。
そのせいかうちの工場の男女比率は半々ぐらい。
「相沢さんって俺の4つ下なんだね。勝手に同い年ぐらいかと思ってた」
「やだ、そんなに私って老けてますか?」
「あはは~、大人っぽいってことだよ」
桜木さんは私の4つ年上だから、23、4ぐらいか。
間近で見ると幼い顔をした桜木さん。
逆に桜木さんの方が若く見えてしまう。
私は…、苦労や疲れが顔に出ちゃってるのかな?