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BLACK WOLF~crime~
第1章 籠ノ鳥
そう言ってその場に私を残し今私が歩いてきたコンビニまでの道のりを小走りで走り去ってしまった。
気まずさと戸惑いを感じながらも、私は少しだけ嬉しかった。
だって、もう2度とこんなふうにハルちゃんとは話せないと思ってたし2度と会えないような気がしてたから。
だから、昔みたいにハルちゃんと話せるのが嬉しかった。
ハルちゃんとは元々仲のいい幼馴染みだったんだから。
何でも話せる仲だったんだから。
その時ばかり、私は黒埼さんの事を忘れていた。
同じ世界、同じ価値観を持った幼馴染みと昔みたいにまた仲良くなれると、そんなズルい考えを持ってしまったから。
ハルちゃんはパンとコーヒーを購入して2人で近所の公園のベンチに腰かけながら今までの話に花を咲かせた。
「でね、今の工場の桜木さんって人がね━━━━」
「いいなぁ、楽しそうで。俺の職場なんて若い女性が少なくて出会いすらねぇもん」
お互いの仕事の話、最近あった面白い話、遠い遠い過去の話。
「昔さ、近所の山の中の探検もしたよな?舞のお母さんに弁当作ってもらって、こうやって山の中で2人で食べてさ」
「あったあった!ハルちゃんってば、ずっと熊が出るんじゃないかって怯えてたよね」
「…余計な事まで覚えてんのな、お前」
私は
意識的に黒埼さんの話は避けていた。
何故だか、黒埼さんの事を忘れようとしていた。
私から黒埼さんの話をするのは気が引けたから。
ただ、この時間が嬉しくて、楽しくて、時間が巻き戻ったような気さえしたから。
「あはは~、久しぶりにこんなに笑ったよ~。最近嫌なことばっかだったから」
「え?お前、何かあったの?仕事も順調そうなのに」
気まずさと戸惑いを感じながらも、私は少しだけ嬉しかった。
だって、もう2度とこんなふうにハルちゃんとは話せないと思ってたし2度と会えないような気がしてたから。
だから、昔みたいにハルちゃんと話せるのが嬉しかった。
ハルちゃんとは元々仲のいい幼馴染みだったんだから。
何でも話せる仲だったんだから。
その時ばかり、私は黒埼さんの事を忘れていた。
同じ世界、同じ価値観を持った幼馴染みと昔みたいにまた仲良くなれると、そんなズルい考えを持ってしまったから。
ハルちゃんはパンとコーヒーを購入して2人で近所の公園のベンチに腰かけながら今までの話に花を咲かせた。
「でね、今の工場の桜木さんって人がね━━━━」
「いいなぁ、楽しそうで。俺の職場なんて若い女性が少なくて出会いすらねぇもん」
お互いの仕事の話、最近あった面白い話、遠い遠い過去の話。
「昔さ、近所の山の中の探検もしたよな?舞のお母さんに弁当作ってもらって、こうやって山の中で2人で食べてさ」
「あったあった!ハルちゃんってば、ずっと熊が出るんじゃないかって怯えてたよね」
「…余計な事まで覚えてんのな、お前」
私は
意識的に黒埼さんの話は避けていた。
何故だか、黒埼さんの事を忘れようとしていた。
私から黒埼さんの話をするのは気が引けたから。
ただ、この時間が嬉しくて、楽しくて、時間が巻き戻ったような気さえしたから。
「あはは~、久しぶりにこんなに笑ったよ~。最近嫌なことばっかだったから」
「え?お前、何かあったの?仕事も順調そうなのに」