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BLACK WOLF~crime~
第8章 雨ノ夜
眠りに落ちてから何時間ぐらい経ったんだろう。
ふっと目覚めると、部屋は既に真っ暗。
雨の音は更に激しく勢いを増していた。
本格的な豪雨になって来たみたいだ。
正確な時間はわからないけど、もう夜になったのかな…。
隣で眠るハルちゃんを見てみると…
「あ…、起きたか?」
私の気配を察したのかこちらを見つめるハルちゃん。
暗闇の中で目が合った。
「うん。眠ってたみたい」
「暢気なやつ」
「ハルちゃんは?少しは眠れた?」
「はぁ…、こんな状況で眠れるか…」
…そうだよね。
いつどうなるかわからない状況だし、何よりハルちゃんの足の怪我も心配だし
暢気に眠れる私の方がおかしいのかも。
「そうだよね。こんな状況じゃ不安だよね…」
「(そういう意味じゃねぇっつーの…)」
ハルちゃん、全然寝てないんじゃないかな?
やっぱ私は地面で寝てハルちゃんはベッドで伸び伸びと寝た方がいいんじゃないかな?
私、ハルちゃんに気を使わせてばかりだ。
溜め息を付くハルちゃんに心の中で謝った。
足の怪我の手当てぐらいじゃハルちゃんを助けたとは言えない。
何とかここから脱出する方法を見つけないと…。
すると━━━━━━
ガチャ、キィー…ッ
「…………っ!」
突然、部屋のドアがゆっくりと開いた。
こんな廃墟にいる人物なんて桜木さんしかいないのに、私とハルちゃんは思わず身構えベッドから体を起こした。
「おいおい、2人仲良くおねんねか?黒埼からそのガキに乗り換えるのか?」
ククッと冷たい笑いを見せながら桜木さんが部屋に入ってきた。
その手にはコンビニ袋と湯気が立っているお粥。