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BLACK WOLF~crime~
第9章 君ノ笑顔
「く…」
眉を歪めながら苦悶の表情を浮かべる黒埼さん。
その足元からは…
「……ひぃっ!」
黒埼さんの足をつたい、地面に流れ落ちる真っ赤な血。
「あ…あぁ…っ」
まさか、黒埼さんが…?
う、うそだ…。
こんな結末は嘘だ。
桜木さんがナイフで、黒埼さんの背中を━━━━━━━
「いやぁぁぁあああぁぁぁぁぁぁあああぁぁぁぁぁっ!!!!!黒埼さぁぁぁぁぁぁんっ!!!!」
「ははは…は、ざまぁみろ…っ」
黒埼さんの背中から離れた桜木さんの手には、黒埼さんの血液で真っ赤に染まったナイフ。
そのナイフからはまだ暖かな血がポタポタと滴り落ちている。
そして、そのまま黒埼さんは…
━━━━━━バタッ…
私の目の前に…
まるでスローモーションのように倒れ込んでしまった。
倒れたその背中には、真っ赤な血が━━━━━━
「い、いやっ!!黒埼さんっ!!黒埼さんっ!!!!」
桜木さんもそのまま、その場に座り込んでしまった。
その目に狂気を滲ませて…。
「黒埼さんっ!?ねぇ、黒埼さん…っ」
微かに動く黒埼さんの体。
生きてることはわかるが、ドクドクと血が溢れ出してる。
このままじゃ、黒埼さんまで…。
嘘だよ、こんなの…。
さっきまで、黒埼さんの腕の中で、私は凄く幸せだったんだよ…?
助かったと思ったんだよ…?
なのに、どうして…。
「黒埼さ…、しっかりして…っ!黒埼さんっ!!」
黒埼さんの体をゆさゆさと揺さぶる。
私の手も黒埼さんの流血で真っ赤に染まって行く。