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BLACK WOLF~crime~
第1章 籠ノ鳥
公園の柵付近に、黒塗りの高価な外車を停車させ
私達に近づく真っ黒なスーツを身に纏った男性。
その目には、激しい怒りが感じられる。
「その坊やに会うのは久しぶりだ…、元気だったか?」
「……俺は全然会いたくなかったですけど」
「く、黒埼さん…どうしてここに…?」
そこにいたのは、黒埼さんだった。
「仕事でこっちに来る用事あったんだ。お前の職場はこの辺だしお前によく似た女がいるなと思って見たら━━━━━」
「まさか…、うるさいハエも一緒だったとはなっ!」
………………っ‼
違う、ハルちゃんとは今ここで偶然会っただけで、私の相談を聞いてくれてただけ。
そんなハルちゃんに向かって…、この人は…っ!
「俺がハエなら、てめぇは舞を蔑ろにして仕事に寄生する寄生虫だな…っ、クソッタレが」
「ほぅ。相変わらず嫌われたもんだ。まぁ、いい」
春夏物を無視して私の方へ歩いてきた黒埼さんは、ハルちゃん等眼中にないかのように私の腕を掴んだ。
「さっさと来い」
「や、黒埼さ…っ」
強引に引っ張られたせいで膝の上に置いていたお弁当と手に持っていた缶コーヒーが地面に散らばってしまった。
今更抵抗する気はないが、今の黒埼さんは何だか恐い。
「…おい、離せよっ!舞に乱暴してんじゃねぇっ!」
「部外者は黙ってろ」
「舞の事をちゃんと見てないてめぇの方が部外者だろっ!」
「━━━━━っ!」
や、やめて、ハルちゃん…。
黒埼さんを怒らせたらハルちゃんの身だって危ないのに。
激しく怒りを露にするハルちゃんに対して、黒埼さんは静かに怒りを燃やしている。
でも、私にはわかる。
私の腕を握る黒埼さんの腕の力がいつにも増して強い。