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BLACK WOLF~crime~
第10章 最後ノ恋




「ハルちゃん…っ」

私の声なんて聞こえてないように、こちらを振り向くことなくドアへと消えていってしまった。



ハルちゃん…。

本当に優しくて、いつも私のそばにいてくれた幼馴染み。

最後の最後まで、大怪我をしながらも私の心配ばかり。

怪我をした足を引きずりながらここまで来てくれた。


私は何度、ハルちゃんに救われただろう。

そんな事を考えてると、目に涙が込み上げて来る。

今にも涙が溢れそうになった時だ。






「……追いかけてこい」

「…え?」

黒埼さんの後ろで涙を堪える私に気づいたのか黒埼さんが私にそう告げてきた。

追いかけてこい、て…。



「黒埼さん?」

「最後にやられた。あんな去り方。男としての力量を見せられたって感じだな」



━━━━━━━。








私はずるかった。

こんなことになるまで、私には黒埼さんとハルちゃん、どちらも大切な人だった。

ハルちゃんに恋愛感情はなく、幼馴染みとしての絆しか感じてなかったけど

いつも私を守ってくれた人だった。


「俺はちゃんと待ってる」


私はずっと、この2人の優しさに甘えてばかりだった。

















カツンッ、カツンッと松葉杖をつく音が廊下に響く。

私はその背中を追いかけた。



「ハルちゃんっ!」




カツッ…と、私の呼び掛けにハルちゃんの足が止まる。

松葉杖なのに、ハルちゃんの足取りはとても早くて、思わず駆け足になってしまうほどに。


「ハルちゃん、待って…」

「………………。」


私はまだ、ハルちゃんに何も言ってない。

「ありがとう」も「ごめんね」も。






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