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BLACK WOLF~crime~
第10章 最後ノ恋
「そうか…」

ハルちゃんのお見舞いには行ってない、その言葉に対して黒埼さんの返事は呆気ないものだった。


きっと、黒埼さんも気づいてるんだ。

ハルちゃんの後を追いかけたあの日、ハルちゃんとどんな話をしてどんな結果になったのか。

私の気持ちや結果を聞かなくても、黒埼さんは何もかもを見通してる。



「で、お前は明日からどうするんだ?」

「え?……私は…」



その問いに私はやっと我に返った。



そうだった…。

黒埼さんやハルちゃんの心配の前に自分の事を考えなきゃいけない。

とりあえず、新しい仕事を見つけなきゃ。

それに部屋だって、ここしばらくちゃんと帰ってなかったから掃除もしなきゃならないし。


「あの…、えっと…、その、いろいろ…」

私の方がやらなきゃいけない事が多すぎる。

どうして私は普段自分の事しか考えてないのに、いざという時は考えられなくなってるんだろう。

やらなきゃいけない事が多すぎて具体的な事が言えなかった。



「あの…」

「予定がないなら、説明会にでも行け」

「え…っ?」




説明、会…?

何、それ…?

説明会って、何の?

どこに行けって…?




「あの、黒埼さん…」

「これを、あの幼馴染みが持ってきた」




赤信号に引っ掛かり、ハンドルを持ちながら前を見ながら、黒埼さんの左手は後部座席に伸びた。

そして、引き戻したその手には…、紙袋。

大きな紙袋を私の膝にドスッと置いた、が

この紙袋って…。


この紙袋をハルちゃんが黒埼さんに…?



「これ、ハルちゃんが…?」

「あぁ。お前がいない時を狙って俺の病室に来た」



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