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BLACK WOLF~crime~
第10章 最後ノ恋
私のいない時に、ハルちゃんが…?
カサッ…
━━━━━━━━━━。
そこに入ってたものは、いつか私の部屋にまで持ってきてくれた介護や福祉関係のパンフレット。
それも、たくさん。
いつか、私が"目指してみたい"って言ったあの時の…。
「こ、これ…」
「あいつが━━━━━━━」
"閉じ込めて置くだけが愛情じゃない"
"舞の気持ちを汲んでやって欲しい"
"俺がしてやれるのはここまでだ"
ハルちゃんは私がいない隙に黒埼さんにこのパンフレットを渡していたらしい。
私を気遣いながら、私を応援してくれようと。
痛い足を引きずりながらこんなに沢山のパンフレットをかき集めて黒埼さんに伝えてくれたんだ。
やがて、信号は青に変わり黒埼さんの車は走り出す。
「何度も何度も、俺に頭を下げながらお前の心配してた」
「……………。」
「腹立たしいのを通り越して呆れた。敵であるはずの俺に。お前の事を何もわかってなかった自分自身にも腹が立ったが」
……ハルちゃん。
……ハルちゃん。
「そういう訳だから、あいつの為にもお前は自分の道を探せ」
ハルちゃん。
ハルちゃん。
黒埼さんは、私の方を見ようとしない。
黒埼さんの優しさなのか、ハルちゃんを思い出して涙を流す、それを見逃してくれたのか…。
心の中で何度謝っても、お礼を言っても足りない。
ハルちゃんの気持ちに応えられるような、そんな女じゃない。
私はいつもいつも、ハルちゃんに甘えて守ってもらってばかりだ。