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BLACK WOLF~crime~
第10章 最後ノ恋
黒埼さんの唇が私の鼻先をくすぐる。
「あ…」
「人妻が専門学校に通っちゃいけねぇなんて規則はねぇだろ?」
いつも分かりにくいやり方や言い回しで私を混乱させて振り回す。
誰もが羨ましがる地位や権力を持ちながら私やハルちゃんの世界に入って来ようとする。
いつもいつも余裕綽々って顔しながら、ハルちゃんに嫉妬して1人で追い詰められていっぱいいっぱいになってる。
私の体をムリヤリ抱いて、監禁して玩具みたいに扱ったくせに、本当は誰よりも私の事を愛してくれて…。
今またこうして、私にプロポーズして追い詰めて困らせて…。
普通に考えたらこんな面倒臭い男性、嫌に決まってる。
どんなにかっこよくてもこんな分かりにくい性格じゃ…。
なのに、私は…、また馬鹿な選択をしようとしてる。
まるで催眠術にかかったみたいに。
「黒埼さん…」
「愛してる」
心臓が跳ねる。
その一言は甘い猛毒。
車内に広がる薔薇の香りと混じりあって私の脳を痺れさせる。
正常な考えが出来ないぐらいに思考が停止する。