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BLACK WOLF~crime~
第1章 籠ノ鳥
連れて来られたのは、昼間から明るいネオンがチカチカと輝いている建物。
大きな垂れ幕が下がっている駐車場の入り口を入り、車を止めて、部屋まで直通の階段を昇る。
駐車場から階段に至るまで全て薄暗くて不気味だ。
「黒埼さん、ここは…」
「は?田舎娘だとばかり思ってたがラブホも知らねぇのか?」
…やっぱりここってそうなんだ。
いつも黒埼さんの家でシてたし、こんな所になんて入った事すらなかった。
部屋の入り口の前でビクビク怯える私を見ながら黒埼さんはクスッと不敵な笑みを浮かべている。
「こんなところは初めてか?」
「……………。」
顔を真っ赤に紅潮させ俯く私だが、チラリと見えた部屋の扉。
何だか重たそうな鉄の扉だ。
ラブホの扉ってこうなってるんだ。
もっと普通の扉だと思ってたけど、何だか頑丈で重たそう。
「ラブホと言ってもいろんなタイプがある。ここは俺専用に作らせたVIPルームで俺好みのプレイ使用ルームになってるけどなっ!」
「え━━━━きゃあああっ!」
語尾を転調させ怒鳴るような声を上げて、私の腕を引っ張り重たそう扉の隙間から中へと押し入れた。
いきなりの事でバランスが取れず部屋に入ったと同時に足がもつれその場で転んでしまった、が
「痛…。━━━何ですか、ここ…」
顔を上げた瞬間、目に飛び込んで来たこの異様な雰囲気思わず背筋がゾッとした。
黒埼さんの邸のあの地下に似た部屋。
天井からは無数のロープや手枷付きの鎖が垂れ下がって降り、部屋の隅にはX字の梁。
黒埼さん邸にもあった分娩台のような椅子。
ベッドには足枷と手枷付き。
室内は薄暗くコンクリートが打ち付けてあるだけの部屋。
しかし、この異様な雰囲気に私は恐怖を覚えずにはいられなかった。