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BLACK WOLF~crime~
第2章 森ノ蝶
そう言って桜木さんは自分の財布から1,000円札を取り出し私に握らせてくれようとしたが
「だ、大丈夫です…。あの、自分で片付けますから…」
ふらっと立ち上がった私は、悪臭を放つ生ゴミを素手で掻き分けて中の鞄を探った。
「あ、相沢さん…」
「桜木さん、ゴミ袋ありますか?」
酷い匂い、吐きそう。
でも、桜木さんに任せる訳には行かないし、何よりお金を借りるのは気が引ける。
こんな大量の生ゴミを素手で1人で掃除するなんて途方もないけど、この時の私の頭の中は正常じゃなかったんだと思う。
「…手伝うよ。だから、せめてご飯だけは食べなよ…」
「あ、ありがとうございます…」
こんなものに触った後に食欲なんて出てこないけど…。
桜木さんの優しさを前に、私は焦りを隠せないでいた。
桜木さんのお陰で何とかロッカーは綺麗になった。
生ゴミを袋に入れて、雑巾がけもして、服や鞄はとりあえず水洗いして、今は会社の屋上に干してある。
桜木さんは一仕事終えたみたいにコンビニにご飯を解に行ったけどよく食欲が残ってるもんだな。
生ゴミの匂いに当てられて、お腹は空いてるのに食欲がない。
休憩室の隅っこで缶コーヒーを飲みながら一息付いていた。
他の社員さんはみんな仲良さそうに談笑しながら食事中で、私はその風景をぼんやり見つめている。
…誰。
この中の誰があんな酷いことをしたの?
人を疑いたくないのに、どうしても疑心暗鬼に陥ってしまう。
誰も彼もが怪しく見えてくる。
すると━━━━━━
「何か臭わない?」
「生ゴミ臭ーいっ!」
………………………っ!!
どこからともなく聞こえる声。
体がビクッと硬直する。
「だ、大丈夫です…。あの、自分で片付けますから…」
ふらっと立ち上がった私は、悪臭を放つ生ゴミを素手で掻き分けて中の鞄を探った。
「あ、相沢さん…」
「桜木さん、ゴミ袋ありますか?」
酷い匂い、吐きそう。
でも、桜木さんに任せる訳には行かないし、何よりお金を借りるのは気が引ける。
こんな大量の生ゴミを素手で1人で掃除するなんて途方もないけど、この時の私の頭の中は正常じゃなかったんだと思う。
「…手伝うよ。だから、せめてご飯だけは食べなよ…」
「あ、ありがとうございます…」
こんなものに触った後に食欲なんて出てこないけど…。
桜木さんの優しさを前に、私は焦りを隠せないでいた。
桜木さんのお陰で何とかロッカーは綺麗になった。
生ゴミを袋に入れて、雑巾がけもして、服や鞄はとりあえず水洗いして、今は会社の屋上に干してある。
桜木さんは一仕事終えたみたいにコンビニにご飯を解に行ったけどよく食欲が残ってるもんだな。
生ゴミの匂いに当てられて、お腹は空いてるのに食欲がない。
休憩室の隅っこで缶コーヒーを飲みながら一息付いていた。
他の社員さんはみんな仲良さそうに談笑しながら食事中で、私はその風景をぼんやり見つめている。
…誰。
この中の誰があんな酷いことをしたの?
人を疑いたくないのに、どうしても疑心暗鬼に陥ってしまう。
誰も彼もが怪しく見えてくる。
すると━━━━━━
「何か臭わない?」
「生ゴミ臭ーいっ!」
………………………っ!!
どこからともなく聞こえる声。
体がビクッと硬直する。