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BLACK WOLF~crime~
第3章 蜘蛛ノ糸
ハルちゃんの優しい笑顔を見てるだけで心が少しだけ軽くなる。

昔からそうだ、ハルちゃんはいつも多くを聞かずに私のそばで私を慰めてくれる。

優しい言葉と楽しいジョークで笑わせてくれる。

「つーかさ、あの桜木さんって人と仲良かったのか?随分お前の心配してたけど」

「あぁ、よくペアを組んでお仕事したの。私みたいな派遣社員にも凄く優しくしてくれて、凄くいい人」

「…結構イケメンだったな」

「うーん、爽やかな人だなぁとは思ってたけど」

「……ふーん」


桜木さん、私の心配してくれてるんだ。

辞めるときはいっぱいいっぱいでロクに挨拶もせずに逃げるように辞めちゃったから悪いことしちゃったな。

「…それより、お前どうする?俺が薦めたからとかじゃなくてやってみたいこととかある?」

「え…あぁ、そうだなー…」


ハルちゃん、私が仕事を辞めた理由聞かないんだ。

敢えて聞かないでいてくれてるんだ。

ハルちゃんはそういう人だ。

いつかの時だってそうだった。

黒埼さんの邸から逃げて来た私を何も言わずに匿ってくれた。


最後に、私はハルちゃんじゃなく黒埼さんを選んだのに…

ハルちゃんを傷つけたのに今も変わらずこうして…。


「大学かー…この大学は寮があるみたい。お家賃タダだよね!」

「え~、寮生活なんてつまんねぇって!それに…、寮に入ったら会い辛くなるっつーか…」

「でも、この大学通うにしては遠すぎるし…」

「(聞いてねぇし…)あぁ、ここなら俺のマンションから電車で1本じゃん。寮じゃなくて俺のマンションに住む?」

「ダメだよ!ハルちゃんのマンションなんてお家賃高過ぎ!私には払えないって!」

「…そういう意味じゃ」





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