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BLACK WOLF~crime~
第3章 蜘蛛ノ糸
受話器から漏れた女性の声とその暴言に心臓がビクッとなった。
暴言を吐くイタズラ電話にはもう慣れた。
いきなりあんな暴言を吐かれて少しショックだったが、それよりハルちゃんにバレてしまった。
その事が1番辛い。
イタズラ電話の相手も一瞬男性の声が聞こえたから焦って黙っちゃったみたいだけど。
ハルちゃん…。
言い返したって、そんなの意味ないよ。
そんな話が通じる相手じゃ━━━━━━
「残念。こいつはすっげぇ可愛いよ」
━━━━━━━━━っ!?
え…、な…っ!
ハ、ハルちゃん、今なんて…
イタズラ電話相手に何を…っ!
「これに懲りてもうこんな電話すんじゃねぇぞ?わかったか、タコッ!」
指で画面をなぞり電話を切り、何事もなかったかのように机に携帯を置いた。
まるで、仕事の電話を終えたみたいに。
「これが最近の女子かよ。きったねぇ言葉使い…。最後も何か喚いてたけど。ま、口が悪いのは俺もか」
本当に何事もなかったかのように…。
私はハルちゃんのあまりの度胸に唖然とするしかなかった。
それに、まさかハルちゃんがあんな事を言うなんて…
"可愛いよ"って。
「で、ここまでしたからには全部話せ」
「え?」
「今の電話、何?知り合い?お前が仕事辞めたのと関係あんの?…あの男はこの事知ってんの?」
「あ、それは…」
「お前のことブス呼ばわりされて黙ってられるほど俺は温厚じゃねぇよ」
一気に質問攻めに合い当の私はオロオロするしかない、が
もうバレてしまったみたいだ。
ハルちゃんの目、まだ怒りがおさまってないかのように恐い。
…隠せない。