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BLACK WOLF~crime~
第3章 蜘蛛ノ糸
ハルちゃんには、隠し事は出来ない。
ハルちゃんは黒埼さんの次に勘がいい人だから。
「あ、実は━━━━━━」
ハルちゃんに、変な気を使わせたくなくて黙ってた。
私にはハルちゃんに心配される資格もないし、庇ってもらう資格もない。
でも、本当は誰かに助けを求めたかった。
愚痴でも泣き言でもいいから、誰かに甘えてしまいたかった。
温かなコーヒーを作って、ハルちゃんと向かい合わせに座りながら私は事の次第を話した。
ゆっくり、今までのことを…。
イタズラ電話や会社での嫌がらせや黒埼さんの事。
ハルちゃんは私の話を黙って聞いてくれていた。
「━━━━━それで、今に至るって感じかな」
「…………………。」
「私、逆境には強いはずだったんだけど…、まさか黒埼さんがこんな人気があったなんて知らなくて…、さすがに参っちゃったよ。あはは~」
「…………………。」
「あ、でも…、仕事を辞めたのは失敗だったかな?明日からまた仕事探さないと…。だから、せっかくいろんな資料を持って来てもらったのに、ごめんね~」
ハルちゃんはただ黙って私の話を聞いてくれてる。
私はあまりにも大事されたくなくて、強がるわけじゃなかったが必死に笑顔を繕った。
私の為を思って持って来てくれた資料が全部無駄になっちゃったな。
「は、あはは…」
「あの男はこの事知ってんのか…?」
「あの、男…?」
「黒埼だよ!彼女がこんな目に遭ってんのに…」
今まで黙ってくれてたハルちゃんの声が一気にトーンを上げた。
ハルちゃんの手、ワナワナと震えてる。
「あの…、黒埼さんは忙しい人だから、まだ何も…」
そう。
黒埼さんからの連絡は週末だけ、ほんの数分の電話。
それ以外はあまり連絡がない。