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BLACK WOLF~crime~
第3章 蜘蛛ノ糸
ハルちゃん…
ハルちゃん…
黒埼さんに弄ばれながらハルちゃんのことを思った。
考えて見れば、黒埼さんという恋人がいながら別の男性を部屋に上げた私も悪いのかも知れないが
ハルちゃんは私を心配してくれただけ。
なのに、黒埼さんは事情も聞かずハルちゃんを邪険にした。
「ふっ、う…、ふぇ…っ」
「舞?」
ハルちゃんは黒埼さんより私の寂しさを見抜いてくれた。
そして、私を慰めようとしてくれた。
それだけなのに…。
「く、黒埼さん…、酷すぎます…」
冷たい玄関先の床に寝転ばされて黒埼さんの指で下半身を愛撫されながら大粒の涙が頬を流してしまった。
私の涙を見て一瞬、黒埼さんがギョッとした顔を見せた。
「お前…」
「ハルちゃんは…、私の心配をしてくれてただけ…。仕事も何もなくなった私の心配を…」
「仕事?」
黒埼さんは何も知らない。
黒埼さんが職場に電話をかけたせいで私との関係がバレて、私が今どんな目に遭ってるか…。
言っちゃいけないと思ってた。
黒埼さんのせいでこんな目に遭ってて、悔しくて黒埼さんに愚痴や泣き言なんか言いたくない。
それに、例え言えたとしても忙しい黒埼さんに心配や迷惑をかけたくない。
自分の力で何とかしてやると思ってた。
それでもどうにもならなくて、結局閉じ籠り腐ってしまった。
「お前、何を…」
「黒埼さんのせいで、私は…」
言っちゃいけない。
それに、全てが黒埼さんのせいじゃない。
でも…
「黒埼さんが私との関係をバラしたから━━━━━」
黒埼さんの…、せいにしたくなかった。
強がりや意地を含めても黒埼さんに泣き言は言いたくなかった。