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BLACK WOLF~crime~
第3章 蜘蛛ノ糸










キィー…



翌日、朝の6:00。

適当な衣類を纏い恐る恐る玄関のドアを開けてゆっくり顔を出し外の様子を伺ってみた。

そこは…、いつもと変わらないアパートの朝の風景。

もうすぐ暑くなるというのにキンッと冷えきった朝の空気。

辺りをキョロキョロと見渡してみる。




…ハルちゃん、帰っちゃったのかな。

辺りを見渡しても誰もいない。

あんな状況で、こんな女を朝まで待ってるはずがないか…。

今度こそ本当にハルちゃんを失ったかも知れない。

心配して来てくれたハルちゃんを追い出すかたちになってしまった。


バタンッと玄関のドアを閉めると…



「もう朝か…?」

後ろから黒埼さんの声が聞こえる。

振り向くと黒埼さんはフローリングの床で眠ってたようだ。

そう言う私もあのまま黒埼さんと眠りこけてしまったみたいだ。

固い床で寝てしまったせいか全身が痛い。


黒埼さんもムクッと起き上がり欠伸を1つ。

そんな黒埼さんを私は少しの怒りを感じながら睨んでしまった、が

私も同罪なんだからそんな権利はない。

黒埼さんは昨晩脱ぎ散らかした服を着て身嗜みを整え出す。

有名な社長さんがこんなボロアパートの床で眠ってるなんて滑稽だ。


「後で業者を回すから荷物を纏めておけ」

「え…?何の為の…?」

「引っ越し業者。さっさと俺の邸に移れ」

「な…っ」


こちらを見ずにスーツをただしながらそう呟くが…

何、それ…?

どうしてそんな事を勝手に決めちゃうの?

ここは、私の部屋なのに。


「か、勝手に決めないで下さいっ!」

「勝手にじゃない。昨日の騒ぎでここに居づらくなっただろ?それに、俺のファンから嫌がらせを受けないとも限らない」

「………………。」

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