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BLACK WOLF~crime~
第3章 蜘蛛ノ糸
悔しいが黒埼さんの言う通りだ。
昨日のハルちゃんとの騒ぎもあるし、私の携帯番号はバレてる以上ここの住所がバレるのも時間の問題だ。
黒埼さんの邸に隠れてるのが1番安全かも知れない。
でも…
でも…っ。
歯をグッと食い縛りながら必死に耐えた。
今にも黒埼さんを叩いてしまいそうだし、それに
言ってはいけない一言を言ってしまいそうだった。
ずっと我慢してた、その一言を━━━━━━。
「い、嫌です…っ、私はここを離れませんっ!」
「あ?今更強がるな…」
私は…、あなたに守ってもらうだけの女じゃない。
黒埼さんに守り続けて貰わなくて自分1人で何とか出来る。
それに、自分の人生や生き方ぐらい自分で決められる。
私にだって意思ぐらいあるし物を考えられる頭だって付いてるんだ。
「どうして全部勝手に決めちゃうんですか?私にだって意思はあるんですっ!私はあなたの所有物じゃありませんっ!」
「お前の意思など知った事か。お前はただ俺に守られてればいい」
「なっ」
ただ、守られてればいい?
だから、勝手にここを出て黒埼さんの邸に移るって事を決めるの?
ハルちゃんを追い出して私を強引に抱いて、私の意思なんか知ったことじゃない?
これじゃ…、これじゃあの頃と同じだ。
黒埼さんに拐われて人形扱いされてたあの頃と…。
「わ、私は…、私はあなたの何なんですか…?私は黒埼さんの恋人じゃないんですかっ!?」
堪えてた疑問をぶつけた。
恋人じゃない、こんな扱いは恋人じゃない。
これじゃ人形と同じだ。
何でもかんでも勝手に決めて、私に選択権なんてなくて黒埼さんの思うままに操られるだけの人形だ。