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シミュレーション仮説 (旧作)
第3章 美優は処女だ。自慰行為すらしたことがない。
 美優は処女だ。自慰行為すらしたことがない。
 つまり、性の快感など今まで全く知らなかった。

 なのに、朝のあの感覚が、性の快感なのだとはっきりと理解できる。
 そして、それを自分がもっと求めていたことも。

 授業に集中できない。

 もぞもぞと椅子の上で動く美優を、クラスメイトの男子が見ている。

 菅野陽一。
 高校生になってからの友人で、ハンドボール部のエース。
 高校から家の近い美優の家の近くはハンドボール部のランニングコースになっているらしく、時々息を切らせて走る陽一とすれ違った。

 細身ながらスポーツマンらしく、鍛えられた体を持ち、女子生徒からの人気も高い。

 先日告白された。返事はまだしていない。

 やだな、こんな落ち着かない姿見られるの。
 陽一君になら、処女をあげてもいいかな。

 ふたつの相対する思考が同時に頭を駆け巡る。

 前者は、昨日までの美優のもの。
 そして後者は、今朝から生まれた美優の思考。

 美優はただただ困惑し、同時に頭の中では陽一との性行為の想像で、頭がいっぱいになった。

 
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