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シミュレーション仮説 (旧作)
第3章 美優は処女だ。自慰行為すらしたことがない。
 疼き火照る体を何とかなだめて授業をこなし、やっと迎えた放課後。
 
 美優はガーデニング部に所属していた。
 季節ごとに種を植え、季節ごとの花を楽しむ。
 育て方や、花言葉を勉強したり、美優はとてもこの部活が気に入っていた。

 今日は休まさせてもらおう…
 
 同じ部活のクラスメイトに、体調が悪いからと告げ、帰宅することにした。

 下駄箱で靴を履き替えていると、陽一が声をかけてきた。

「飯田、帰るの?」
「あ、うん…何か調子悪くって」
「そうか。途中まで送って行こうか?」
「…陽一君部活は?」
「今日は休み、ほら」

 陽一は制服のズボンの足元を捲って見せる。
 ハンドボール部で活躍する陽一は、先週の練習で足を挫いていた。
 足首にはテーピングが巻かれている。

 そういえば体育も見学してたな、と美優は思い出す。

「今日は病院なんだよ。方向一緒だからさ」
「じゃあ途中まで一緒に行こうか」

 うん、と少し照れたように頷いて、陽一は美優と肩を並べて歩く。

 美優の頭の中に、再び陽一に犯される自分の姿が浮かぶ。
 
 恥ずかしい…こんなこと考えて…
 してほしい、想像よりも、もっといやらしいこと。

 ふたつの思考に翻弄される美優は、陽一との会話にも身が入らず、生返事をしながら歩く。
 
 時々熱っぽく見つめられたかと思うと、急に視線を逸らす。
 声をかけても上の空だ。

 陽一は、告白したことが悪いのか、と悩む。
 告白のせいで、この微妙な気まずさが生まれてしまったのか、と。

「…飯田」
「ん?」
「ちょっと寄り道しないか?」
「寄り道…?」

 いつも大人しい美優だが、今日は受け答えが何だかふわふわしている。
 
 これはふられるな、と思いながらも、陽一はしっかり答えを貰いたかった。

「こないだの…返事、まだ聞いてないから」
「返事…うん…」
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