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快楽の奴隷
第9章 約束
「出たっ! 先生のツンデレ!」
「俺がいつお前にデレた?」

妙に呼吸があったやり取りを見て、花純は小さく笑った。
自分より森崎の方がよっぽど高梨に相応しい。
その笑いにはそんな嫉妬混じりの悲しみも含まれていた。

「で、どうだ? この原稿で文句ないだろう?」
「うーん。そうっスね……」

雫が再び原稿に目を落とすタイミングで、花純はその隣に腰掛ける。
自分の隣に座らなかった花純に、高梨は少し訝しむ視線を送った。

「ロマンチックだと思うっス。ただ……」

歯切れ悪く言い残し、彼女は原稿をペラペラと捲る。

「なんだ?」
「いや、先生にしては甘過ぎるというか、ロマンス盛りだくさんというか?」
「お前がそうしろって言ったんだろう? 乙女心がきゅんきゅんいうようなヤツにしろって」

馬鹿馬鹿しいというように手を降る。

「いやまあ……そうっスけど……」
「ちゃんと濡れ場も書いているだろ? 文句言われても書き直さないからな」

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