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快楽の奴隷
第9章 約束
打ち合わせは長引きそうだと感じた花純は立ち上がる。

「あの、私、他の部屋で待たせてもらいますので」
「ああ。悪いな。そうしてくれ」

高梨は原稿を読みながら花純にそう返す。
リビングを出た花純は曽根に応接室に通される。
執事は手際よく紅茶を用意して彼女の前に置いた。

「あっすいません……曽根さんも座ってください」
「お気遣いありがとうございます。しかしお客様の前で座るわけにはいきませんので」
「立ってらっしゃるとなんか私が落ち着かないんです」

笑いながら伝えると「それでは、失礼します」と断ってから花純の正面の椅子に腰掛けた。

「すいません。突然やって来てしまい……」
「いえ。花純さんがいらっしゃるとご主人様もお喜びになりますから」

曽根は上品に笑う。

「でもお忙しい時に来ちゃったみたいで」
「そうですね。ご主人様は小説に関してだけは凄い情熱を傾けてますから」
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