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快楽の奴隷
第9章 約束
扉を開けて顔を出したのは森崎だった。

「なぁんだ。セックスしてないンスか……」

本気でガッカリした声で嘆く。

「当たり前ですっ!!」

その後ろからやって来た高梨は変態編集者の頭をパシンと叩いた。

「用が終わったなら帰れ」

高梨に腕を引かれる彼女は名残惜しそうに高梨邸を後にしていった。


「ちょっと出掛けてくる」

曽根に告げた高梨は車のキーを手に取る。

「えっ……どこに……」
「どこに行くかより誰と行くか、が大切だろ? 早く来い」

高梨はイタズラっぽく笑って花純の手を掴む。

「行ってらっしゃいませ」

曽根は恭しく頭を下げて二人を見送った。

高梨は表情が乏しいために分かり辛いが、確実に機嫌がよさそうだった。
別れを切り出そうとしていた花純は、更に言い辛い状況になってしまい戸惑う。
しかし未来が見えない関係をこのまま先伸ばしに続けていくのは、何より自分に対して不誠実だ。

「なんだ? 浮かない顔をしてるな?」

高梨は少し心配そうに問い掛ける。
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