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快楽の奴隷
第1章 プロローグ
家からかなり離れた書店に、普段の彼女からは想像もつかないような服装までしてやって来たのはこの本を購入するためである。
ショートヘアは全て帽子の中にしまいこみ、マフラーとキャップのつばで顔も隠れているので見えているのはほとんど眼鏡だけの状態。セーターが大きいサイズで厚手のため、もはや男か女かの区別すらつきづらいほどだった。
彼女は普段から読書がなによりの愉しみという、文学少女だ。通っている高校では図書委員を勤めており、ほとんど誰の利用もない図書室は彼女の貸し切りのようなものになっていた。
『不思議な装丁……』
小説の表紙のフランス人形は静かに微笑みを浮かべている。その笑顔は嬉しいようでもあり、悲しいようにも怒っているようにも見える。
不気味と言えば不気味である。しかし不気味なもの特有の妖しい美しさが漂っていた。
ショートヘアは全て帽子の中にしまいこみ、マフラーとキャップのつばで顔も隠れているので見えているのはほとんど眼鏡だけの状態。セーターが大きいサイズで厚手のため、もはや男か女かの区別すらつきづらいほどだった。
彼女は普段から読書がなによりの愉しみという、文学少女だ。通っている高校では図書委員を勤めており、ほとんど誰の利用もない図書室は彼女の貸し切りのようなものになっていた。
『不思議な装丁……』
小説の表紙のフランス人形は静かに微笑みを浮かべている。その笑顔は嬉しいようでもあり、悲しいようにも怒っているようにも見える。
不気味と言えば不気味である。しかし不気味なもの特有の妖しい美しさが漂っていた。