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快楽の奴隷
第12章 『嗤う人形』
力果てた花純は高梨の腹上にうつ伏せで倒れた。

はぁはぁと荒い息が彼の胸にかかる。
水分を孕んだその吐息に高梨は心の安らぎを覚えていた。

「ありがとう……花純……」

毛並みを揃えるかのようにその頭頂を高梨が撫でてやる。

「ごめ、んなさい……私が先にイッちゃうなんて……」
「なに謝ってるんだよ」
「だって……私が押し倒しといて私だけ愉しむなんて」
「俺だって愉しんだよ」

変な罪悪感に苛まれる花純が、何故だか激しく愛しかった。

「花純は俺の……ミューズだ……」
「ミューズ?」
「そうだ……」

まだ繋がったままの身体は互いの温度を感じ取れる。
花純は惚けた顔で高梨を見詰めていた。

「創作意欲を掻き立てる女性。それがミューズだ……」

その言葉は何よりも彼女を悦ばせる力を持っていた。

「うれしい……うれしいです……」

花純の目から涙があふれ、止まらなかった。

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