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快楽の奴隷
第15章 求めすぎる心
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急に姿を現した異様に黒い雲は、一瞬でアスファルト一面を濡らす豪雨をもたらした。
激しい雨粒は地面を跳ねて白く煙らせる。
その雨は高梨のアパートのベランダにも叩きつけられていた。
網戸だけ閉めていたので跳ね返った雨粒は室内の床を濡らす。

「すごい雨……ゲリラ豪雨って言うんでしょ、こういうの」

衣服を纏っていない宏世が窓の外を眺めて呟く。

「なんか最近多いな。夏の風物詩になりつつある」

高梨は身を起こしてベッドから降りると、脱ぎ散らかして床に落ちている彼女の高校の制服を拾い上げてから窓を閉める。
もちろん高梨も裸であった。

この頃では従兄妹で肌を重ねることに罪悪感も薄れつつある。
好奇心で間違いを犯したと言える時期はとうに過ぎていた。
飽きれば去っていくとたかをくくっていた高梨の予測は楽観的すぎた。
もっとも高梨の方としても簡単に終わりに出来るほど、余裕のある恋慕ではなくなっていた。
三年生になっていた宏世は受験の最中だが、元々優秀な割に志の低い彼女は、自分の学力で受かる女子大を目指しているので勉強はさほどしていない。
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