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第15章 求めすぎる心

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再読し終えた『嗤う人形』を閉じ、テーブルに置く。
夢中で読んでいたら時刻は午前零時を回っていた。

『どこか違う……』

花純の心は何かモヤモヤとした違和感が漂っていた。
その原因は小説の結末だった。
ヒロインの女性は身籠った末に、主人公の男ではない男と結婚するところで終わっている。
主人公の血液型はO型、結婚相手もO型。
生まれてみたところで血液型ではどちらの子供か判断がつかない。
物語はそこで終わっており、どちらの子供とも書かれてはいない。

『なんというか……』

花純はじっと表紙のフランス人形を見詰めて思いを馳せていた。

『違う気がする……』

高梨と知り合う前、この小説を読んだ花純はヒロインの強烈な個性と、主人公への愛の深さに震える結末だと感じていた。
しかし改めて今、読み返してみると違和感を感じずにはいられなかった。