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快楽の奴隷
第16章 応えすぎる心
高梨にそのことを告げられぬまま、ジリジリと時は過ぎる。
言い出せないまま、一つの大きな変化が訪れた。


とあるテレビ番組で有名な人気アイドルが最近感動したものという質問に『湖畔を抜けて森の中へ』の名を挙げた。
元からオタク気味で二次元のアダルトコンテンツを好むことで有名な彼女の発言にスタジオは沸いた。
アイドルが官能小説で感動するなんて言うか? という司会者のツッコミに彼女は必死で素晴らしさを訴える。
それが話題に火を着けた。
『湖畔を抜けて森の中へ』は一気に注目され、それまでのヒットとは次元の違うブレイクを果す。
様々な雑誌にも取り上げられ、大絶賛された。
それまでの幻野イルマ作品も注目され、一気に時の人に祭り上げられてしまった。
とは言えもちろん高梨はテレビ出演はおろか、雑誌のインタビューにすら応じない。
しかし皮肉なことに、その謎めいた人物像が更に話題となってしまっていた。
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