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快楽の奴隷
第16章 応えすぎる心
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「おめでとうございます」
花純が笑いながら祝福すると、「何がめでたいものか……」と照れた拗ね顔で窓の外に視線を向ける。
空港の最上階にポツンと建てられたこの寿司店からは夜の海の漆黒とそこに浮かぶ船の灯り、そして着陸を待つ飛行機がトンビのように旋回する灯りが見えた。
「だって七十万部ですよ。百万部も間違いないです」
「ヘンテコなアイドルの一言で売れたような数字に何の悦びを感じろと言うんだ?」
「あれはただのきっかけですって。あの子がああいったところで作品がつまらなかったら売れないんですから」
高梨が求める言葉を的確に花純が述べると、さすがに少し嬉しそうに口許を緩めた。
数字に拘りがない高梨だが、七十万部は意味があった。
いや、五十万部を越えるというところに意味があったという方が正しい。
彼の最大のヒット作であり、花純を悩ませる作品『嗤う人形』の五十万部を越えたということが大きかった。
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「おめでとうございます」
花純が笑いながら祝福すると、「何がめでたいものか……」と照れた拗ね顔で窓の外に視線を向ける。
空港の最上階にポツンと建てられたこの寿司店からは夜の海の漆黒とそこに浮かぶ船の灯り、そして着陸を待つ飛行機がトンビのように旋回する灯りが見えた。
「だって七十万部ですよ。百万部も間違いないです」
「ヘンテコなアイドルの一言で売れたような数字に何の悦びを感じろと言うんだ?」
「あれはただのきっかけですって。あの子がああいったところで作品がつまらなかったら売れないんですから」
高梨が求める言葉を的確に花純が述べると、さすがに少し嬉しそうに口許を緩めた。
数字に拘りがない高梨だが、七十万部は意味があった。
いや、五十万部を越えるというところに意味があったという方が正しい。
彼の最大のヒット作であり、花純を悩ませる作品『嗤う人形』の五十万部を越えたということが大きかった。