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快楽の奴隷
第16章 応えすぎる心
特選コースが二人の前に届けられた。
艶やかな光りを放つ握り寿司はイクラや蛸、トロの赤、雲丹(うに)や煮穴子の茶色、海老や鮃(ひらめ)の白と色鮮やかで見た目にも美味しさを味わえる。

「わぁ……綺麗……」

空港のハーバービューというロケーションだけのこけおどしだけでなく、近海の昼網で獲れたものを中心に最上級のネタを食べられると言うのがこの店の売りだった。

「いただきます!!」

花純は好物の雲丹を摘まむとネタを舌に当てて噛み締める。
口中の熱により一瞬で溶けた雲丹は甘みと深みのある磯の香りが立ちこめ、鼻へと抜ける。
遅れて軍艦の海苔のパリッと芳ばしい香りが口に広がった。

「美味しいっ!!」

花純は口許を押さえて感激の声をあげていた。
それを見た高梨は七十万部の時には見せなかった心からの笑顔を見せた。

「俺は雲丹は食べないから花純が食べていいよ」
「えー! いいんですか? じゃあトロを上げますね」


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