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快楽の奴隷
第17章 闇と光
恐怖で硬直した花純の固い身体を感じ、立山はソッと身体を離した。

「冗談だ。いきなり押し倒したりはしねぇから……まあ座れよ」
「はい」

花純の前に缶のままのビールを置くと、彼は自分の分のプルタブを開け、ぎゅうっと喉を鳴らして煽った。

「で、高梨について聞きに来たんだろ?」
「そうです」

彼女はプルタブを開けず、缶を軽く握ったまま頷いた。

「私が……高梨さんを駄目にしてしまっているのではないかと……」

花純は震える声で説明を始める。
芸術家の繊細な悩みは芸術家しか分からないのかもしれない。
そう考えた時、花純には立山の顔が浮かんだ。
だから貰った名刺に電話をし、訪れることを決めた。

高梨が官能小説以外のものを書いたこと、そしてそれが彼の魅力を発揮出来ていないものであること。
それら全てをすがるような思いで語った。



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