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快楽の奴隷
第17章 闇と光
ホテルで落ち合った二人はそのまま丘陵に並ぶ異人館に向かう。

「住んでるとこういう観光地、意外と行かないもんですよね」
「まあな。でも俺はたまに来る」
「へぇ。そうなんですか。意外」

辺りはアジアからの観光客が多く、賑わっていた。
店先の看板には中国語で書かれた免税店の案内が目立つ。

「小説で洋館の描写を書くこともあるから参考にな」
「あ、なるほど……」

坂を登り古い住宅街の路地を抜けて先へと進んでいく。

「それに夜はバーになってるところもあるんだ。気晴らしに散歩したり、酒を飲んだり。意外と来てるんだよ」
「へぇ……そうなんですね」

少し沈んだ花純のトーンに高梨は小さく笑う。

「でもデートで来るのは初めてだ」

そう付け加えると花純の顔は輝きを取り戻した。
分かりやすい彼女が愛しくなり、握る手の力を少し強める。

執拗に全館周遊券を勧めてくるチケット売りの中年女性に苦笑しつつ、二人は四つの館に入れるチケットを購入した。
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