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快楽の奴隷
第18章 なくして、得るもの
学生の頃から花純は潔癖なほどに可憐な気配を漂わせていたので、親友である鈴子もほとんど彼女と性的なことに関わる話題をしたことがなかった。
彼氏がいたときもあったが、どこまで進展したかなどという下賤な興味を帯びた質問をするのも躊躇われたくらいであった。
その親友が昔から官能小説を読んでいたこと、ましてや公共の場でオナニーをした話を聞かされて驚く。
しかし話の腰を折って花純の告白が止まってしまうのを恐れた彼女は黙って聞いていた。

まだ瘡蓋(かさぶた)も出来ていない心の傷を語るのは苦しくて辛かった。
花純は涙を流し、過呼吸ぎみに息を詰まらせながらもことの経緯を説明し続ける。
鈴子としては時に手を握り、時に頭を抱いて撫でながら花純を励ますしかなかった。

「そっかぁ……それは……辛かったよね……」

ティッシュで花純の濡れた目許や睫毛を拭いながら、最後まで話した花純を励ましてやる。
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