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快楽の奴隷
第18章 なくして、得るもの
彼女も城の気持ちが分からないほどウブではなかった。
話し方や接し方で、相手が自分を憎からず思っていることは分かる。
しかし知り合って一ヶ月程度の間柄でそんなに想われるのも、不自然に感じてしまう。
『いや、そうでもないか……』
ブランコに座り、夜空を仰ぐ。
『私はネットカフェでオナニーを見られて、すぐに高梨さんに惹かれていったんだっけ……』
油の切れかけた金属の擦り合う音を鳴らしながら、ゆらゆらと身体を揺らした。
花純はスマートフォンを取り出すと『幻野イルマ』を検索する。
高梨の元から姿を消してから、このワード検索をしなかった日はなかった。

『湖畔を抜けて森の中へ』のブームは静まり、新しいニュースやトピックスはヒットしない。
既に発刊されている書籍のネット販売のサイトが多かった。
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