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快楽の奴隷
第18章 なくして、得るもの
鈴子はそっと花純の手を握る。

「もう心を解放してあげなよ……充分苦しんだよ、花純は……無理に囚われようとしないで」
「そんなんじゃ……私は、ただ……高梨さんが好きで……愛したらいけない人だって……求めてはいけないんだって分かってるんだけど……でもっ……それでも好きなの……」

涙で言葉を詰まらせながら、包み隠さない想いを吐露した。

「そっか……」

悲劇のヒロインに酔ってる訳ではないことを汲んだ鈴子は余計に不安が募ったが、それ以上は口を出さなかった。
愛するがゆえに身を退く。
そんなに愛を彼女は経験したことがなかった。
知りもしないことに対して安っぽい言葉をかけられるほど、鈴子は厚顔ではない。
ただひたすら、親友の心の傷が癒えることを願い、手を強く握ってやることしか出来なかった。

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