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快楽の奴隷
第18章 なくして、得るもの
高梨の新刊『或る愛のかたち』の発売日まで、毎日が胸の高鳴る日だった。
待ち焦がれた恋人を待つような、心が浮き足立ち、待ち遠しいような、怖いような、そんな気分だった。
日に日に増えていく情報を見る度に胸は焦がれていく。
立山のイラストで飾られた表紙がアップされたときは興奮のあまり眠れず、高梨と会えなくなってから初めて自慰をしてしまった。
彼に舐めてもらったことを思い出しながら媚芯を撫で、彼がしてくれたように乳首をつねり、彼の傘肉を夢想しながら指を抜き差しした。
至悦を迎え入れる瞬間には小さくだが、高梨の名を呼んだ。
それだけで生々しく彼の面影が脳裏に蘇り、意地悪に笑う声が聞こえる。
声を圧し殺すために顔に押し付けていた枕が高梨の顔にすら思えた。
衛生面などは考えることも出来ずに、枕を唾液で濡らすほど激しいキスを交わす。
舌を蠢かしながら悦の余韻を愉しんでしまっていた。
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