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快楽の奴隷
第19章 快楽の奴隷
ネットカフェでのいきなりの指責め、電車内での疑似痴漢、執事の曽根を巻き込んでの情事。

思い出すだけで身が悶えるほどの恥辱ばかりなのに、美しく思えてしまう。

弱さを見せてくれた時も、初めて射精してくれた時も、愛しくて堪らなかった。

「ごめんなさい……高梨さん……ずっとあなたの傍にいるべきでした……」

閉じたまぶたの隙間から滲んだ涙が漏れ流れる。

「あなたの才能に期待しすぎて……苦しめていたのかもしれません……ごめんなさいっ……」

もはや偽り隠すことは何もなかった。
彼女は圧し殺していた気持ちを、流れるままに言葉にしていく。

「小説なんてっ……どうでもよかったのにっ……女としてあなたに愛してもらうことを願えばよかったっ……私は……私はただあなたが好きでっ……どんな償いをすればいいのか……分からないけどっ……」

抱えた小説のカバーが折れるほどに力が籠っていた。


「分からないなら教えてやろうか?」


突然聞こえたその声に、花純は思わず本を手放し、ソファーから落ちそうに跳ねた。

「たかな、しさん……」

リビングの入り口には鷹のように鋭い目をした、いつもの高梨が立ち、シニカルな笑みを浮かべて花純を見据えていた。
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