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第6章 ロマンスの書き方

「海を見つめながらね、どんな台詞を言おうか考えてるところなんだ……全く何も浮かばなくてね……」
「さっきのお弁当屋さんのパートさんのお話ですか？」

花純は珍しく冗談を言う。

「へぇ……花純もジョークとか言うんだ。意外だな」
「じょ、冗談と分かったなら笑ってくださいよっ」

ジョークを真顔で返されるほど恥ずかしいものはない。

「そのパートのアラフォーのご婦人は落合という名前なんだが、落合は新人に必ず年齢当てクイズをさせるんだ。見苦しいほどに若作りした女の年齢当てクイズほどたちの悪いものはない。実年齢より5歳以上下に言うのが正解だけど、１０歳以上若く言うのも不正解にさせられる。見え見えのお世辞だからね。不正解の新人はより激しくイビられる」
「もういいですって、その没案の製作秘話は」

折角の雰囲気が壊れてしまいそうで、花純は高梨の話を遮る。