この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
愛玩男奴 お兄ちゃん
第7章 愛留という子……
※ ※ ※
その夜、私は再び扉の並ぶ地下に立っていた。その手に独房の鍵を握りしめて。
開けたのは愛留の部屋。射し込んだ一条の薄明りの中に小さな半身が浮かび上がる。
「ごしゅじん……さま?」
「いいえ、違うの……お姉ちゃんよ」
玲子さんは教えてくれた。実験に使われたのはパパの精子だと。愛留は私たちの弟だと。
「おねえちゃん?」
「そうよ」
「愛留はおねえちゃんのもの?」
「ううん……いえ、そうね。愛留はお姉ちゃんのものよ」
そう言われて愛留の顔がパッと輝く。
「それでね、お姉ちゃんも愛留のものなの」
「……よくわかんない」
調教されたことのないシチュエーションなのだろう。そう答える愛留は普通の男の子のように見えた。
「いいよ、わかんなくても」
クスッと笑う私。
「おねえちゃんと一緒に行く?」
「……うん!」
どこへ? とも聞かずに愛留が微笑みを返す。
館の外は小雨だった。私は愛留の手を引いて、その濡れた暗闇の中へと足を踏み出す。
お兄ちゃん、ごめんね。
そして、ありがとう。
私は決めたよ。私の為じゃなく、私以外の誰かのために。
お兄ちゃんと同じように。
さようなら。
お兄ちゃんはきっともう、ここに来たときから私にそう言っていたんだね。今頃だけど、私もお兄ちゃんにお別れを言います。
玲子さんにも。
でも、玲子さんは多分、私がこうするってわかっているような気がします。最初からそのために私たちの家を訪れたんじゃないかって。
「愛留……足もと、気をつけて」
「うん……お姉ちゃん」
ぱしゃぱしゃと、水音を立てる足音が遠ざかる。
玲子さんと、お兄ちゃん、男奴たちの住まう館から。
肌寒い風が音を立てて通り過ぎると、
私たちは二人だけになった。
TRUE END
その夜、私は再び扉の並ぶ地下に立っていた。その手に独房の鍵を握りしめて。
開けたのは愛留の部屋。射し込んだ一条の薄明りの中に小さな半身が浮かび上がる。
「ごしゅじん……さま?」
「いいえ、違うの……お姉ちゃんよ」
玲子さんは教えてくれた。実験に使われたのはパパの精子だと。愛留は私たちの弟だと。
「おねえちゃん?」
「そうよ」
「愛留はおねえちゃんのもの?」
「ううん……いえ、そうね。愛留はお姉ちゃんのものよ」
そう言われて愛留の顔がパッと輝く。
「それでね、お姉ちゃんも愛留のものなの」
「……よくわかんない」
調教されたことのないシチュエーションなのだろう。そう答える愛留は普通の男の子のように見えた。
「いいよ、わかんなくても」
クスッと笑う私。
「おねえちゃんと一緒に行く?」
「……うん!」
どこへ? とも聞かずに愛留が微笑みを返す。
館の外は小雨だった。私は愛留の手を引いて、その濡れた暗闇の中へと足を踏み出す。
お兄ちゃん、ごめんね。
そして、ありがとう。
私は決めたよ。私の為じゃなく、私以外の誰かのために。
お兄ちゃんと同じように。
さようなら。
お兄ちゃんはきっともう、ここに来たときから私にそう言っていたんだね。今頃だけど、私もお兄ちゃんにお別れを言います。
玲子さんにも。
でも、玲子さんは多分、私がこうするってわかっているような気がします。最初からそのために私たちの家を訪れたんじゃないかって。
「愛留……足もと、気をつけて」
「うん……お姉ちゃん」
ぱしゃぱしゃと、水音を立てる足音が遠ざかる。
玲子さんと、お兄ちゃん、男奴たちの住まう館から。
肌寒い風が音を立てて通り過ぎると、
私たちは二人だけになった。
TRUE END