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愛玩男奴 お兄ちゃん
第7章 愛留という子……
    ※    ※    ※

 その夜、私は再び扉の並ぶ地下に立っていた。その手に独房の鍵を握りしめて。

 開けたのは愛留の部屋。射し込んだ一条の薄明りの中に小さな半身が浮かび上がる。

「ごしゅじん……さま?」

「いいえ、違うの……お姉ちゃんよ」

 玲子さんは教えてくれた。実験に使われたのはパパの精子だと。愛留は私たちの弟だと。

「おねえちゃん?」

「そうよ」

「愛留はおねえちゃんのもの?」

「ううん……いえ、そうね。愛留はお姉ちゃんのものよ」

 そう言われて愛留の顔がパッと輝く。

「それでね、お姉ちゃんも愛留のものなの」

「……よくわかんない」

 調教されたことのないシチュエーションなのだろう。そう答える愛留は普通の男の子のように見えた。

「いいよ、わかんなくても」

 クスッと笑う私。

「おねえちゃんと一緒に行く?」

「……うん!」

 どこへ? とも聞かずに愛留が微笑みを返す。

 館の外は小雨だった。私は愛留の手を引いて、その濡れた暗闇の中へと足を踏み出す。

 お兄ちゃん、ごめんね。
 そして、ありがとう。
 私は決めたよ。私の為じゃなく、私以外の誰かのために。
 お兄ちゃんと同じように。

 さようなら。
 お兄ちゃんはきっともう、ここに来たときから私にそう言っていたんだね。今頃だけど、私もお兄ちゃんにお別れを言います。
 玲子さんにも。
 でも、玲子さんは多分、私がこうするってわかっているような気がします。最初からそのために私たちの家を訪れたんじゃないかって。

「愛留……足もと、気をつけて」
「うん……お姉ちゃん」

 ぱしゃぱしゃと、水音を立てる足音が遠ざかる。
 玲子さんと、お兄ちゃん、男奴たちの住まう館から。

 肌寒い風が音を立てて通り過ぎると、

 私たちは二人だけになった。


 TRUE END
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